ただいま
新宿駅のホームを歩いていたら、東京にやってきたという感覚がなくて、いつもの新宿に来た感じがした。
前回は新鮮な気持ちがしたマイソールクラスも、今回は「ただいま」の気分。
瑠璃練生たちにはオンラインであまり細かいことを指摘しないようにしている分、「今度会ったときに......」というツケがたまっていて、ちょっと忙しかった。オンラインではアジャストメントはできないけれど、ふだんどういう練習しているか把握できているので指導はしやすい。モニター越しに見ている練習が、この場へシームレスにつながっていることを実感。オンラインは生で会ったときにその効果を発揮するらしい。
マイソールのあとはみんなで小日向をお散歩しながら茗荷谷のカレー屋さんへ。シューと散歩していた道を歩いて、ここが勘三郎さんちだとか、このお豆腐屋さんでシューがおからを食べたとか、そんな話をしながら。
このカレー屋さんは薬膳カレーをウリにしていて、ベジメニューが選べるのがうれしい。以前ここの日替わり薬膳カレーが大根で、それ以来カレーに大根を入れるようになった私。この日はカボチャでこれもまたおいしかった。
おいしいと楽しい。楽しいとおいしい。
楽しそうにしている人たちを見るのがまた楽しい。
その雰囲気のまま、お次は坐禅会。
坐る前に、星覚さんが円覚寺の横田老師のお話をしてくださった。以前ティクナットハン老師が言われていたことには、日本人は口をへの字にして坐禅しているけれど、もっと楽しんだほうがいいと。
日本人はまじめすぎる傾向がある。禅といったら、厳しい。修行といったら、つらい。という型のなかに、はまりやすいのではないかと思う。
坐禅のときの「楽しい」は、口角の少しだけ上がったアルカイックスマイルね。
https://chazen.hatenablog.com/entry/2021/10/27/183216
それから、横田老師から賜ったという絵本『パンダはどこにいる?」を読み聞かせしてくださった。

絵本なんだけど、禅の本。パンダだけど、禅のお話というのが微笑ましくて、横田老師のお人柄が偲ばれるような気がした。ちょうど最近横田老師のブログを拝読していた私は、ますます円覚寺に行ってみたくなった。
横田老師といえば、星飛雄馬が坐禅した話のときに取り上げていた。そのことは記憶に残っているのだが、内容についてはすっかり忘れていた。誰かが「打たれまいとするな。打たれに行け」とヒントを出してくれたのに、詳細が思い出せない。今ブログを読み返してやっと思い出した。1年ちょっと前なのに、もう忘却の彼方だ......。
https://chazen.hatenablog.com/entry/2022/03/13/190413
星覚さんが横田老師に会った直後の坐禅会だったので、星覚さんを通して横田老師のプラーナが伝わってくるような、とてもよい時間だった。神楽坂のCHAZENがなくなっても、こうして星覚さんと、サンガのみんなと一緒に坐禅して、楽しく語らう機会が得られることの有り難さよ。先日も某嬢が言ってたけど、こういう集まりはほかにない。
満ち足りた気分での帰途、池袋経由で新宿に出たら人・人・人で、今洗った服が泥だらけになるような感じがした。飲み物ひとつ買うにも並ばないといけないような人混み......。
お山に帰ってきたらほっとして、ここがホームなんだなと、こっちでも「ただいま」をした。
翌朝目覚めたとき、頭痛とともに新宿の人混みが脳裏に浮かんだ。東京疲れ。3月のときもそうだった。
さあ、泥を落としに行こう。
自転車に乗って坂を下りていたら、雲の向こうに朝日、その下に雲海、そして空には龍。私の好きな北斎の「富士越龍」みたいな龍が天を昇っていた。
