生きる力を蘇らせる
今年も無事、3連休を利用しての断食プログラムが終了しました。リクエストされて気づくという受け身の態度で実施した断食プログラムではありますが、参加者それぞれにもたらされた効果を見て、俄然やる気を出しております。
特に、空庵に滞在しての断食では、相乗効果で顕著な変化が見られたので、レギュラーのリトリートプログラムとして採用することにしました。今後リクエストに応じて2泊3日の断食コースを実施します。
今回の参加者は、なんと空庵に泊まるのが3回目。といっても、前の2回は引っ越しなどの手伝いで来てくれたので、CHAZENのプログラム参加で泊まるのは初めてです。最初に来たときから空庵とここの環境を気に入ってくれていましたが、今回はそれに断食が加わって、また4泊という長さもあり、顕著な空庵効果がみられたようです。
空庵では「侘び飯」が基本です。具だくさんの味噌汁とごはん、納豆と海苔やちょっとしたおかずという粗食ですが、みなさん美味しいと言っておかわりして食べてくれます。素材の良さとシチュエーション的な効果で美味しさが増すのだと思います。
そして、よく眠れるとみなさんおっしゃいます。布団がふかふかで暖かく、環境的にも静かなために、安眠できるのだそうです。それが何よりうれしいのです。空庵ステイの目的は、ここで何か特別なことを学ぶというよりも、知らず知らずにたまっているシャバの汚れを落としてゆっくり休息し、生まれ変わるような新鮮な気持ちで日常に戻ることだからです。
山の簡素な生活を共有することで、人間本来のもつ本能が刺激されて何かが目覚めるのでしょう。身体の中心のほうから生きる力が湧いてきて、家に帰ってからの毎日が楽しくなるような、そんな時間を過ごしていただけると思います。
私は人が(犬が)元気を取り戻したり、不調が治っていくことに特に喜びを感じるようです。子どものころから親に、医者になれ、薬剤師になれと再三勧められても一切興味を示さず、その方面をできるだけ遠ざけてきた人生の終盤に、そんな思いを抱いている自分を見い出すなんて。人生は最後までどうなるかわからないものですね。
ここ数ヶ月というもの激動すぎて余裕がなく漢方のことが遠くに打ちやられていたのですが、こちらも空庵ステイに最適であると今さらながら気づいた次第です。そんな成り行きで、断食とは別に漢方のプログラムも行っていきます。
もちろん、坐禅やヨガはときとして、どんな薬よりも効果が高い再生のためのツールです。ただ残念なことに、空庵のスペースは狭く、家具やガラスなど怪我のリスクも高いため、アシュタンガヨガの練習をするのにはあまり適していません。そのためアシュタンガヨガはオプションとして扱うことにしました。
忙しさに疲れ果ててしまったり、迷いがあってモヤモヤしていたり、ストレスのせいで不摂生な日々になっていたらそれが「空庵ステイどき」です。そんな自分に気づいたらぜひどうぞ。
こうしてみると、新しいことを考えられるようになった私自身がかなり生きる力を回復させたことに気づきます。天龍寺の摂心が私を再生させたように、空庵が誰かの何かの力になりますように。
